前回の続きです。連れていかれたのは、札幌の貸し会議室。そこには数十名のお客さんが座っていました。
最後に入ってきたのに「ebekoさんには最前列の席を用意しておきました」と言われ、最前列のど真ん中の席に座らせられました。どうやら私は絶好のカモだと思われてたみたいです。
席に着くと間もなく講演が始まりました。登場したのは、この地域での普及を担当しているという司会の北大生(本当かよ)。話を始めるや否やD9クラブのすばらしさを語り始めました。
そして「私はそれまで何のとりえもなかったんですが、このD9クラブに参加してから、毎月の収入が○○万円になりました!」などと熱弁をふるっていました。まあ口では何とでも言えますからね。実際はどうだったのやら。
ここまでは大丈夫でした。全然信用せず「(これがいわゆる怪しい勧誘か……はやく帰りたいなあ……)」と思うくらいの余裕。
しかしその後登場したさらに偉いグループリーダーは違いました。リーダーなだけあって話が抜群にうまいのです。
「ビットコインというのは、サトシ・ナカモトが発明した新たな通貨であり……」「2100万枚という発行上限があり……」というビットコインの説明を30分ほどきちんとしてから、本題の会員の話に入りました。
ビットコインの話だけだったら、なかなか分かりやすい説明だった記憶があります。当時はビットコインに関する本もそんなに出ていなかったので、なかなかのインパクト。人を騙すだけあってさすがのプレゼン能力でした。
『2・6・2の法則』まで持ち出してきて、「皆さんは今なら、最初の2になることが出来ます!」なんて言ったり。
わざわざ会社が実在するという書類や、証明書まで用意していましたし(あとで調べたらお金を出せば簡単に発行してもらえる書類だったそうですが)、東京では大きなコンベンションが開かれて司会もあるタレントだったりと、それくらいはこのトークに騙された人がいたのでしょう。
正直なこと言いますと、最初は疑ってた私も、このあたりで信じかけそうになったというか「投資しちゃおうかな……」と一瞬思ってしまいました。
口座にいくらあったかとか思い出しちゃって。集団心理って本当に怖いですよ。飲み込まれます。そこで鵜呑みにしなかった自分をほめたいです。
説明が一通り終わり予定のプログラムは終了。しかし直後に「説明だけでは分からない人も多かったと思うので、メンバーが質問を受け付けます」と言って間をあけずに机を並べなおした後、スタッフによる質問タイムが始まりました。
この勢いのまま申し込ませよう、帰らせまいとしたのでしょう。
ここの必死さというか怪しさで目が覚めまして最終的に私は「ここまでしてもらって怪しいも何もないので入会します。ただ明日は試験があるので(試験機関の最中だった)家に帰ってから申し込みます」と言って、会場を早足で後にしました。気を引き締めなおしながら。
会場を出て、熱を冷ます時間や検索の時間をもらえればこっちのものです。「今ここで申し込んでください」という手法じゃなくて、本当に良かったなと思います。
ただし帰った直後にはその後輩含めたライングループが作られていました。こういうのはきっちりと拒否しない限りどこまでもついてきます。
ネットで調べると「D9は詐欺である」という記事が先頭にわんさか出てきてきました。一応「D9でこんなに稼ぎました!」という記事も出てきたものの、無料ブログやチープなホームページで、数回の更新があっただけ。
どちらを信用するかは言うまでもないこと。ライングループもブロック。後輩に嫌われようが関係のないことです。こうして私の詐欺の初体験は幕を閉じました。
ただ「ビットコインそのものは特別怪しいものではない」と知るに至り、ビットフライヤーに登録をして取引を始め、多少儲けられたのはいい思い出です。その点で20%くらいは感謝してます。
あと「詐欺師はこうやって近づいてくる」という学びになったという点で。
皆さんも「詐欺師は周りに潜んでいるかも」と用心しましょう。末端の人ならまだしも、上手い人は本当にその気にさせてきますので本当に注意です。大金をどぶに捨てることになります……。